日本語では、同じ意味の文を複数書ける
日本人の私たちは生まれたときから日本語に接しています。当たり前のように使っているこの言葉ですが、英語と比べますと、特異な性質を持っています。
語順を変えても意味が通じてしまうのです
例えば、
私は、大谷翔平選手が好きです。
の1文。日本語では、
大谷翔平選手が、私は好きです。
私は好きです、大谷選手が。
でもOKです。英語では、
I like Shohei Ohtani.
の1つしか書けません。英語圏の人からしますと、驚きの言語なんです。
1意味、複数種類の文の問題点
同じ意味の文を複数書けると、読む側は頭を使います。本来、論文を読むとき、文ではなく内容に頭のリソースを使うべきです。
そういう点で、日本語は、小説や詩などで表現する上では便利ですが、科学の文章を書くには少し難しい言語です。
論文の文の書き方
論文の文は、可能な限り短くシンプルで1行1意味が理想です。では、どうしたらいいでしょうか?
基本は、「主語」、「形容詞」、「目的語(名詞)」、「副詞」、「述語」のルールをしっかり守ることです。これだけで分かりやすい文になります。
もう少し注意点を加えますと文中、「形容詞」は「名詞」のすぐそば、「副詞」は「述語」のすぐそばに置くことを忘れないことです。
また、大谷翔平選手の文を例にとってみましょう。こんどは少し長い文になります。
私は、かっこいい大谷翔平選手が大好きです。
文を分解しますと、主語は「私」、形容詞は「かっこいい」、目的語は「大谷選手が」、副詞は「大」、述語は「好きです」となります。
日本人にはつまらない文に見えますが、このような短くてシンプルな文が論文の文章として理想です。
論文に使われる文は意図的に情報を入れています。書き手が伝えたい内容ごとに「言葉」を足したり引いたりします。
先ほどの、
私は、かっこいい大谷翔平選手が大好きです。
の文ですが、容姿に興味がなければ「かっこいい」を取り除きます。
私は、大谷翔平選手が大好きです。
また、人によって興味のある点を付け加えることもできます。
「ロサンゼルス・ドジャースに所属」に興味がある人は、
私は、大谷翔平選手が所属しているロサンゼルス・ドジャースが大好きです。
「二刀流」に興味がある人は、
私は、大谷翔平選手の二刀流が大好きです。
「剛速球」に興味がある人は、
私は、大谷翔平選手の剛速球が大好きです。
「プレー」に興味がある人は、
私は、大谷翔平選手のプレーが大好きです。
という具合です。
論文の文の特徴
論文に使われる文では、短くてシンプル文に数字を使う場合が多いです。
大谷翔平選手の投げる球は剛速球ですね。でも、どのくらい速いか第三者に伝えることはできません。
そこで、数字と単位を使うわけです
私は、大谷翔平選手が投げる160 km/h(キロメートル/時)の剛速球が大好きです。
より情報が具体的になりましたね。
論文の世界では数字と単位を使うのが基本です。長さの単位なら「m(メートル)」、重さの単位なら「g(グラム)」、時間の単位なら「s(秒)」、気温の単位なら「˚C」ですね。
小学校でなぜ単位を習うかは、第三者に自分の持っている情報を具体的に伝えられるからです。
結論
長々と書いてきましたが、論文の文の書き方の結論は、
「短くシンプルに数字と単位を使って書く。」
となります。
論文は長いですが、文章を1文まで分解して読みますと、すべてこのようになっています。逆にいえば、論文は「短くシンプルに数字と単位を使って書いた」文の集合体ということになります。
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